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【ラグ】米沢緞通滝沢工房・緞通職人・滝沢幹夫、寛子

「すごく素敵なラグがある!」私たちと米沢緞通の出会いはSNSにアップされた写真でした。実物を見たくてさっそく米沢にお邪魔したのが2020年春頃のこと。小さな四角形の中に、大胆に描かれたグラフィカルな模様。そしてとっておきの肌触り。その際にうかがった「たたずまいを引き上げるものをつくりたい」という言葉が気になり、2020年夏に工房を見学させていただきました。
形や数値では表せない「たたずまいのよさ」をつくる人・環境について、米沢緞通滝沢工房の皆さんにお答えいただいたインタビューをご覧ください。

2021.02.05

独自の手織り機からはじまった米沢緞通の歴史

左から代表の滝沢幹夫さん、社員の永井海さん、専務の滝沢寛子さん
滝沢寛子さん

私たちの工房の始まりは、先代のメンテナンス業です。
米沢は、米沢藩時代から有名な織物の町。ここで織機の組み立て・メンテナンス業を営んでいた先代が、機械の知識を活かして独自に緞通の織機を開発し、工房を立ち上げたんです。

当時から使用されてきた鉄製の織機は「滝沢織機」として特許も取得したもの
滝沢幹夫さん

滝沢織機は、縦糸をしっかりと均等な力で張れるので模様もキレイに仕上がりますし、何よりも緞通に弾力が出ます。ウールという素材の良さを実感していただけるのでないでしょうか。

縦糸にウールを通して織り上げていく。「糸・柄・織りと様々な要素をいかに組み合わせるかを考えるのもまた楽しみの一つ」と幹夫さん。
滝沢寛子さん

わたしは「ウールに勝る敷物なし」だと思っているんですよ。
シルクの敷物のような飾りとしてではなく、実際に踏んで、使って愛着を深めていくことができます。さらに夏涼しく冬温かくて機能的。そして座った時の贅沢な使い心地もウール特有のものですよね。

数あるウール糸の中から、デザインに合わせた色を選んでいく。

当社の緞通の品質の良さが好評いただき、高度経済成長期には首相官邸の赤絨毯を手掛けたり、ホテルからのご依頼も多くいただいていたんですよ。
しかし、1980年代末に国内情勢が変化し、その煽りを受けて一度工房を畳まざるを得なくなりました。

その後、絨毯のクリーニング業に方向転換。それまでのお取引先様の引き立てもあり今に至るわけです。

「つくりたい」という原始的な欲求。そして再び旗揚げ

クリーニング業を営む中で、スペースの問題から大きな織機は処分してしまいました。
ただ、私たちにとって「ものをつくりたい」というのは原始的な欲求に近いもの。
工房を畳んでから10年たったころ、現在の社長(滝沢幹夫さん)が、残していた小さな織機を組み立てて緞通づくりを再開しました。
ものづくりができない時期が長く続きましたからね。つくる喜びはものすごかったです。特に当時の社長は私の目から見ても見てもルンルンでしたね(笑)

「つくるごとに色々なアイデアがわいてくる。緞通づくりは、そんなありがたい仕事です」という幹夫さんの言葉にはものづくり愛が溢れていた

最初はクリーニング業が落ち着く冬の間だけ織っていたのですが、興味を持っていただいた方からお声掛けいただき、デザイナーの吉田勝信さんにオリジナル緞通のデザインをしていただくことになりました。

吉田さんには、ブランドの立ち上げという意味で「旗揚げ」をテーマにデザインをお願いしました。米沢は武将の町でもありますし、歴史上の様々な旗印を現代的にデザインしていただいています。

吉田勝信さんによってデザインされたタペストリー。旗印をモチーフにしている。

緞通には、空間と人のたたずまいを引き上げる力がある

滝沢工房がコンセプトとしているのは「たたずまい」の良さ。
お気に入りのイスが一脚あるとします。その足元と座面に、とっておきの敷物を添えることで、「自分だけのイス」という贅沢を味わっていただきたいんです。

私たちがつくるのは小さなサイズの緞通ですが、そんな贅沢な場所をしつらえることが、空間・おうち、そして使う人のたたずまいを引き上げる力になるんだということを伝えていきたい。

まず触れて、腰かけていただくことが一番の説得材料です。体験してもらう場をいかにつくっていくか、どう魅力を伝えていくかを考えていきたいですね。

滝沢幹夫さん

新しく永井さんというスタッフも増えましたので、技術を次の世代に伝えていく取り組みもおこなっていきます。
永井さんはインターネットでうちのことを知ってくれて、何度も工房の見学に来てくれてね。今、基本的なことを学んでいる最中なんです。

逆に、大学で織物を学んできた永井さんは、トルコ結びなど、私たちにはない技術を持っています。
自分の技術を教えながら新しい技を取り入れて、緞通づくりの可能性を広げていきたいですね。

目下修行中の永井さん。写真は図案を作成している様子

エピローグ

50年以上前に作られた織機が現役で作品をつくり出し、現代に生きる私たちに癒しやホッとできる時間を提供してくれる。その重みや時間の流れの不思議さが、工房でお話を聞くことで体感できるような、そんな貴重なひとときを過ごしました。そしてなにより、鉄製の機械とそれを操る職人技のカッコよさ!ものづくりと緞通を愛するみなさんの熱気に触れ、またひとつラグへの愛着が深めることができた米沢への旅。滝沢さん、永井さんありがとうございました。(取材 2020年7月)

商品紹介

米沢緞通 ラグ/チェアラグ

デザイン:おしべとめしべ/籠目に赤い実
サイズ:W630×H450/W380×H380
価格:58,300円(税込)/36,080円(税込)

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