自然豊かな秋保で生まれる「森のはちみつ」。花の名前が冠された豊かなハチミツたちは、その風味も味わいもバリエーション豊か。
この味を生み出す山口さんは商品の素材ともいえる「養蜂」からハチミツづくりに携わっておられました。
私の養蜂スタイルは天候や気温などによって変化していきます。その時々でミツバチから発信される情報を汲み取り、彼らの感情や状況を理解する。つまり私は、大自然のなかでミツバチと共に仕事をしているんです。
そんな私の仕事のひとつが、ミツバチの快適な環境を整えること。
例えば、六角形の巣はすべて同じに見えますが、子育て部屋、ハチミツや花粉の食糧庫など、さまざまな用途があります。このバランスが崩れると群れの維持に問題が生じてしまう。だから日々の手入れが欠かせません。
彼らの暮らしを支え続けることで、ミツバチの生活の一部をコントロールすることが可能になります。たとえば、多くの花が咲く季節には群れの数を増やします。すると、ミツバチは自らの餌である花蜜をたくさん採取することができる。そして余剰になった分は、ハチミツとして人間に分けてもらえるんです。
説明すると簡単なようですが、養蜂の舞台は大自然。天気や気象条件に関わらず、24時間365日の対応が必要になってきます。
ですから、飼育しているというよりは「ミツバチに仕えている」「互いに支えあいながら働いている」という感覚が強いですね。それは「風の谷のナウシカ」に出てくる蟲使いのような感じです。
ミツバチが生きるルールの中にお邪魔して、自然という大きなエネルギーと共に働く。この仕事をはじめて10年くらい経ちましたが、この暮らし方にもようやく慣れてきたように思います。
ハチミツづくりをはじめる以前は和楽器職人。実は、三味線をつくっていました。この、耳・手先・目などの感覚を研ぎ澄ませる経験が、養蜂の仕事でも大いに役立っています。
私の耳は、ミツバチの小さな羽音一つを聞くだけで、巣箱の中がどうなっているのか分かります。養蜂は精密な手作業が必要となる場面も多い。巣箱は自ら手づくりしています。それ以外にも、ミツバチが口にするものは必ずテイスティングするため、味覚も敏感である必要があります。
つまり養蜂は、五感を研ぎ澄ませて自然と向き合うことが大切。これができるから、花の香りが豊かで健全な味のハチミツが出来上がるんです。
私の養蜂場では四季の花ごよみに沿って、どの時期に何の花の蜜を集めてもらうかをコントロールしています。だから、1年を通して様々な花のハチミツができる。年間で様々な味わいをつくり出せるのは、四季のある日本ならではの楽しみですよね。
その代わり、四季、つまり日本の気候風土に合わせた仕事をする必要も出てきます。たとえばミツバチたちの巣箱への工夫。彼らがこの場所で快適に過ごせるように、巣箱の風通しを良くしたりと住環境にも気を配っているんです。
住む場所が快適であってほしいのは、ミツバチも人間も一緒です。だから彼らのために、住む場所から住み心地まで、自分の家を選ぶ感覚で手を尽くしています。
養蜂にていねいに向き合えば、私がミツバチを必要とするように、ミツバチも私を必要としてくれる。実はこれ、植物とミツバチの関係に似ているんです。
植物はミツバチによる受粉のおかげで自然のなかで繁栄し、ミツバチは植物から花蜜や花粉を得る。私たちはミツバチのお世話をすることで、おいしいハチミツを採らせてもらう。そして多くの人に喜んでいただける。人間社会だけでなく、様々な生物の多様性に貢献する。この循環の実現が、養蜂の醍醐味だと思いますね。
将吾さんから「これ、食べてみてください」と渡されたのは、ハチミツがたっぷり入ったミツバチの巣。テレビの中で見たあこがれの景色の実現に、私のテンションは最高潮に。メロンの甘味を凝縮したような、爽やかなのに濃厚な味わい。この美味しさは、花の、ミツバチの、将吾さんの「生きる力の結晶」。循環する自然をまるごと食べているような感覚に、私の心は感謝でいっぱいになりました。(取材:2021年7月)
重量:100g
賞味期限:5年
保存方法:直射日光を避け常温保存
価格:864円(税込)
※お取り扱いの種類は時季によって異なります
※写真は50g詰め合わせ3種(1,620円(税込))になります
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